皆さんは最近増加傾向にある「膵炎(すいえん)」という病気について、ご存知でしょうか?
いや、それ以前に「膵臓(すいぞう)」という臓器についてどれくらいご存知でしょうか。
膵臓は、場所としては、胃のちょうど裏側あたりにあります。
直径15cm・重さ100gほどとサイズこそ小さいですが、血糖値を正常に保つためのインシュリンなどのホルモンを分泌する「内分泌機能」、そして消化液を分泌する「外分泌機能」という重要な2つの機能を持っています。
膵炎とは、この膵臓に炎症が起き、痛みなどを生じる病気です。
膵炎は、膵臓が分泌した酵素によって膵臓自らの細胞が消化され炎症を起こしてしまうという病気としてもちょっと変わった特徴を持っています。
膵炎の原因は、急性膵炎・慢性膵炎とも、「アルコールの過剰摂取」によるものが最も多くなっているものの、胆石症や遺伝に起因するものや、原因が不明とされる「特発性膵炎(とくはつせいすいえん)」もあります。
急性膵炎は比較的若い30~40代から発症が見られますが、慢性膵炎は主に50~60代に発症が多く見られます。
男性はアルコール性膵炎の割合が最も高く、また女性は特発性膵炎の割合が、男性に比べて高くなっています。
しかし急性膵炎・慢性膵炎とも、お酒の飲み過ぎ、すなわち「アルコールの過剰摂取」によって起きるケースが多いという点では共通しています。「アルコール性膵炎」とも呼ばれるゆえんです。
ちなみに、アルコールの過剰摂取によってなぜ慢性膵炎が起きるのかについてはまだよくわかっていませんが、アルコールだけでなく、食生活など他の要因も関係しているものと考えられています。
日本酒にして、毎日3号の以上のアルコールを10年以上摂取し続けていると、慢性膵炎になりやすいと言われており、アルコール性肝炎などと同様酒飲みが用心しなくてはならない、怖い病気のひとつと言えます。
急性膵炎は腹部や背中が痛くなるのが一番の症状で、激痛と言っていいくらいに痛みが激しくなることもあります。
該当部を手で押すと、さらに一層の痛みを感じます。
市販の鎮静剤やお酒を飲んで痛みをごまかそうとする人もいるのですが、すぐには効きませんし、痛さが続くあまり高熱が出たり、あるいはショック症状を起こす場合もあります。
急性膵炎は軽く考えずに、病院できちんと治療を受ける必要がある病気なのです。
軽症の急性膵炎の場合は、治療により通常は数日~一週間程度で症状も収まり治癒します。
ただし、万一急性膵炎をきっかけとして全身が炎症を起こす「多臓器不全」となった場合は大変で、重症の急性膵炎の死亡率は5割を超えるともいわれます。
この場合は、集中治療室入りや胆のうや膵臓の手術ともなりかねません。
また慢性膵炎では、膵臓の消化機能が破壊され元に戻らなくなります。
そして上述の「内分泌機能」が壊れることにより、「糖尿病」を合併しやすくなります。
糖尿病の発症にかかわるインシュリンは、膵臓から分泌されるホルモンで血糖値を下げる働きをしています。
このインシュリンが十分に分泌されなかったり、あるいは正常に働かなくなると血糖値が上がり、やがて糖尿病が引き起こされます。
いったん発症させてしまうと一生涯付き合わねばならず、また糖尿病網膜症・神経障害・動脈硬化などの合併症を絶えず心配しなくてはならないこの糖尿病に至るための最短コースのひとつが、慢性膵炎なのです。
慢性膵炎も急性膵炎ほどの激痛ではないものの、症状として腹の上側あるいは背中辺りに、重苦しく鈍い痛みが続きます。
それ以外に、吐き気や食欲不振、体重減少などの症状がみられることもあります。
もっとも、慢性膵炎が重度まで進行すると、膵臓の痛みが進むために痛みをあまり感じなくなるといわれます。
重度の慢性膵炎は、上腹部を抑えると、固くなった膵臓の感触を外から確認できるほどになります。
膵炎の検査は、血液検査や腹部超音波検査などいくつかの方法で行われます。
治療ですが、急性膵炎の場合は、きちんと絶食・絶飲したうえで、点滴で栄養分や水分を補いながら、必要に応じて鎮痛剤や抗酵素剤を投与することが基本です。
食事によって消化酵素の分泌が促進されるため、それを防ぐために絶食する必要があるわけです。
なお当然のことながら、飲酒はダメです。
慢性膵炎では、臓器の傷んだ部分は壊死(えし)して二度と回復できないため、病気の進行を抑えることに主眼がおかれます。
そして特に慢性膵炎の場合は、飲酒の禁止が「絶対的に」要求されています。
また通常は食事においても、脂肪の摂取制限がなされます。
鎮痛剤や抗酵素剤などの薬物治療も併用される場合もあり、また万一重度となった場合は集中治療室入りないし手術の可能性もでてきます。
結論として、急性膵炎を甘く見ないこと、また慢性膵炎においては糖尿病など合併症の発症の恐ろしさを認識し、禁酒日を必ず設け食事内容の見直しを行うなど、生活習慣の改善にも取り組む必要があります。
膵炎は特に他の病気と間違われることがも多い病気ですので、上記のような症状に思い当たる場合は、鎮静剤などでごまかさずに、早々に消化器科の診察を受けるようにしましょう。
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